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いきものをたべること。2

(続き)

もう一匹も、なんとか捕まえ、
こちらも首を突く。

頸動脈を切ってから、半時間、と
言っていたけれど、
猪は、依然逃げ出そうと暴れ、
飛び上がり、檻を噛み、
近づく人間に突きかかり、
弱る気配がない。

「血が一滴も出なくなっても、
走っていくこともある」らしい。

鹿の場合は、檻に閉じこめられただけで
暴れ、衰弱して死んでいくこともあるらしい。

草食の動物ではない、
猪の荒ぶり、力強さ、凶暴さ、
それらを目の当たりにした。

そういえば、もののけ姫の
「タタリ神」の、生への足掻きというか、執念というか、
とにかく「爆発的な生命力」に似ている。
死してなお、敵と認識した相手に襲いかかること。
首だけになってなお、牙を剥く気迫。
あの恐ろしさ、そして畏れを感じた。

狩猟民族たちが、
狩りの対象である、山の獣たちを
畏れ敬う理由が、感覚として、
すこし分かった気がした。

ふと、古いアメリカの写真を思い出す。
ライフルを持って、仕留めた大きな熊に足をかけ、
笑顔で写る、白人ハンターの写真。

前に見たときに、
獣にかけたその不遜な足と、その得意げな笑顔に、
不快感を感じていたけれど、
あらためて、その不快感の正体を知る。

「畏れ」がないのだ。


いろいろと思いを巡らすうち、
少しずつ、状況は進んでいく。

動きが鈍くなった猪たちの
後ろ足にワイヤーをかけ、
逆さに吊る。

一頭を吊ったあと、
そこから滴る血を、
もう一頭が一心に舐めていた。

喉の渇きを感じたのかもしれないけれど、
理屈ではなく、本能的に
失った血をとりもどそうかと
していたのかもしれない、と思った。

いずれにしても、
生きるために、今もこの
生き物は、動いている。

すべての瞬間瞬間を、
きっとこの先忘れないだろうと思った。


長くなったので、そろそろ
話を収束する。

最後、二頭は首を絞めて止めとし、
軽トラの荷台に載せた舟に入れ、
持ち帰った。

この止めは、慎重に確認しないと、
もうすっかり弱った上で死んだ、と思っても
突然息を吹き返し、突っかかってきたり、
走り去ったりするらしい。

容易に想像できた。
そして、それが大型の個体だった場合、
逆襲されて怪我、悪くすると命を取られる人間もいるだろう。

動くものを糧とする、生命力の強力な生き物を
狩り、殺し、食らうということは
必然として背負うリスクなのだ、と思った。


そして、わなの位置はそのままで
餌にぬかを撒いて、引き上げる。

捕まった場所だけでなく、
屠殺の現場ではありながら、
それでも、一月くらい経てば、
また近づいてくる猪がいるそうだ。


……そして、持ち帰った猪は
腹を割き、内蔵を出して
熟成のため、吊し置く。
毛皮は剥がず、そのまま。

このサイズだからかもだけれど、
一週間ほどで、熟成が進んで食べられるだろうとのこと。
週末、調理&いただきにおじゃまする予定。

このあたりの「さばくほう」の話は、
また機会があれば記録しておきたいと思う。

……あえて、写真なしでお送りしました。



emix | 食べもの | 16:22 | comments(0) | - | - | - |
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