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「死んだ男の残したものは」。

このうたを覚えたくて車の中でうたいながら、
歌詞の意味を、あらためて考えていた。

このうたは、ベトナム戦争への反戦歌として
つくられたと聞いた。

歌詞は、どこかで探したらすぐ見つかると思うのだけれど、
まとめてしまうと、つながる命たちが戦争によって
何もかも失って次々死んでしまう、というもの。

うたは7番まであって、
後半はすこし変則的になるけれど、
基本的に、こんな構造だ。

 死んだ○○が残したものは □□と△△
 他にはなにも残さなかった ▽▽ひとつ残さなかった……

ここの中にうたわれる、
「残したもの」と「残さなかったもの」。

「残したもの」は、かろうじてギリギリの中で残されたもの。
「残さなかったもの」は、一般的には残っているようなもの、
それさえも残されなかったという強調だ。

「残さなかったもの」が、不意に、
想像以上に強い表現なのではないかと気がついた。


1番には、「死んだ男は、墓石ひとつ残さなかった」とある。
2番には、「死んだ女は、着物いちまい残さなかった」。
3番は、「死んだ子どもは、思い出一つ残さなかった」。

働き手を兵隊にとられた庶民たちは、
ほんとうにものがなくて、みんな貧しかっただろう。
夫を亡くしては妻は生計を立てられず、
親を失っては子どもは生きていけない。
そういうところからの「一家の家長が墓石も残せない」
「美しく装いたいはずの女が着物も残せない」
「多感で遊びざかりの子どもが親もなくして思い出がない」
……そういうイメージをしていた。

でも、ベトナム戦争だ。
地雷、ナパーム弾、虐殺、強姦、枯れ葉剤……
ここの、悲惨なはなしを、私は知っているはずだ。
そう思って具体的なイメージを重ねたとき、
これらの「残さなかったもの」は、
痛ましい、なまなましい想像になった。

男は、墓石におさまるべき体さえなくなってしまっていたのではないか。
女は、死んだときに着物さえ着ていなかったのではないか。
子どもは……
子どもは、「残したもの」として「ねじれた足」が歌われている。
……枯れ葉剤。
この薬に体も、そして頭もこわされてしまった子は、
思い出を残すすべもなく、死んだのではないか。


作詞をされた谷川俊太郎さんに聞いたわけではないので
この憶測が、そのまま歌詞の意味ではないかもしれないけれど。

でも、勘違いだとしても、
私はこの憶測をあっためておきたい。
こんなかなしい歌を残さざるを得ないような「戦争」は
どうあっても、絶対に二度と、しちゃいけないのだ。
emix | うた・音楽 | 19:02 | comments(0) | - | - | - |
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